将来設計

今年度は3つの児童養護施設で子どもたちと一緒に未来について考えるグループをやっています。
春に始めて,毎月1回,いろいろなワークを通じて自分の特徴について理解したり,自分がやりたいことについて考えたり,施設を出た後の生活について考えたりしてきました。

そろそろ今年度のグループも終わりに近づいてきました。
今回はグループの中で体験してきたことをもとにして,子どもたちに将来設計をしてもらうワークをしました。
将来に対する肯定的な展望を持ちにくい子どもたちが多いので,最初にこのワークをしようと考えた時にはできるかなぁ…と心配もありましたが,いざやってみると,おとなよりも子どもの方が将来設計をするのが上手。「何歳までにこんなことしてみたい」「そのためには何歳くらいでこんなことしたほうがいい」というようなことを考えながら将来設計をしてくれました。

子どもたちの将来設計を紹介するわけにはいかないので,おとなが20歳に戻って将来設計をしたものを例としてみてください。



いろいろなライフイベントを書いていくと時間がかかったり,アイデアが出てこなかったりするので,あらかじめカードにいろいろなライフイベントを書いておきます。それを何歳くらいに,ということを考えながら貼っていきます。おとななので,結構几帳面に貼って,書いてありますが,子どもたちもこれに負けないくらいいろいろなことを書き込んでくれていました。

「実現しなくてもいいんだよ。今,自分がやりたいことを考えて人生設計してみよう」

たぶん,これまでなかなか施設で暮らす子どもには言ってあげられなかった言葉だと思います。
自立することの大変さ,大人になることの責任,身に着けておかなければならないスキル… そういったことについての話はたくさんする機会はあるけれど,子どもたちが生きてみたい将来について一緒に話してみるのもとてもいい時間でした。


三菱財団研究助成報告書 ⇒ 『児童養護施設年長児童に対するキャリア・カウンセリング・プログラムの開発

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北海道大学大学院 教育学研究院 臨床心理学講座 福祉臨床心理学研究室