Person Centered Approachと体験過程療法の国際学会(WAPCEPC)@NYC

数日前からニューヨークで開催されているPerson Centered Approachと体験過程療法の国際学会(WAPCEPC)に参加しに行ってきました。



https://www.pce-world.org/

Rogersに始まるPerson Centered Approachとそこから発展してきた体験過程療法,Focusingを中心にした心理療法の国際学会で,2年に1度,開催されています。
国際学会と言っても欧米,南米の方,あとは日本からの参加者がほとんどです。残念ながら,それだけ今,世界ではPerson Centered Approachが盛んではないということなのだと思います。
数年前にドイツのポツダムで初めて発表して,ベルギーのアントワープに続いて,今回は3回目の発表でした。

今回は日本のケースカンファレンスの現状と問題を報告し,その問題に対する解決策としてPCAGIPによるケースカンファレンスの意義と効果検証について発表しました。残念ながらあまり多くの方に聞きに来てはいただけませんでした。なかなか日本のようなケースカンファレンスの問題は感じられていないのかもしれません。周囲の目を気にしたり,批判的になったりするというのは日本で強い傾向なのかもしれません。
それでも海外の大学でセラピストを養成している先生からは集中講義などで日本の大学に行くと,とてもこうした問題を感じるというコメントも頂きました。PCAGIPのような新しいカンファレンスの形を深めていくには,同時にこれまでのカンファレンスの問題点などをきちんと整理していくことも必要だなと思いました。



自分の発表の他にもいくつかの発表に顔を出しましたが,その中でもメインだったのはFocusingの創始者であるGendlinの講演でした。でも,これも残念なことにGendlinは体調の問題なのか会場に来ることができずに電話での登壇になりました。もう,ずいぶんお歳のようです。電話の声はとても聴きとりづらくて何を話しているのか,ネイティブでない私たちにはよくわかりませんでした。

学会全体を通して感じたのは盛り上がりに欠けるなぁということでした。
10年ほど前にドイツのポツダムで開催された時には,カンファレンスセンターにみんなで宿泊して,夜にパーティをしたり,テラスで勝手に飲み会を開いたりしてお祭りのような雰囲気で学会の日程が進んでいきましたが,今回は場所柄もあるのか,そんな時間もありませんでした。参加者も少なかったし…
運営も正直,あんまりよくなかった。

次回はオーストリアのウイーン。
その次はニュージーランド。
どうしようかな。次は別の学会にしようかな…

何はともあれ,最も知ることができたのはPCAがだいぶ盛んではなくなってきているんだな,ということでした。

ide LAB.

北海道大学大学院 教育学研究院 臨床心理学講座 福祉臨床心理学研究室