日本福祉心理学会第15回大会

日本福祉心理学会第15回大会が九州女子大学で開催されました。


今回の大会テーマが「福祉現場の『実践』と『理論・研究』をつなぐ福祉心理学」だったことや私が長く活動してきた九州での学会だったということもあり,九州の“愉快な仲間たち”に話題提供をしてもらい,『社会的養護を要する子どもの成長を支える(3)~成長を支えるコラボレーション~』というテーマで自主シンポジウムを開きました。毎回,九州女子大学の大迫先生,国立武蔵野学園の大原先生と一緒にやってきたシンポジウムです。


話題提供してもらった“愉快な仲間たち”を紹介しましょう。

1人目は大西清文さん(ジミー)。九州ぼうけん王代表,北九州大学非常勤講師。
施設の子どもや里親家庭の子どもとのアドベンチャーカウンセリングについて話題提供していただきました。
私も一緒に活動してきたのですが,里親さんたち向けのリフレッシュキャンプや子どもだけが参加する10日間の無人島キャンプなど,アドベンチャー(野外体験)がどのように社会的養護を要する子どもの支援につながるのかについて紹介してもらいました。

2人目は橋本愛美さん。SOS子どもの村JAPAN。
橋本さんは福岡市にあるSOS子どもの村JAPANで,里親さんたちの支援に関わってこられました。いろんな話をしてもらいたいところでしたが,今回は,地域のリソースをいかにしてコラボレートするか,ということ焦点を当てて話してもらいました。企業や市民ボランティアなど,様々なリソースを開拓し,活用していく取り組みは児童福祉施設には弱いところだなと痛感しました。

3人目は重永侑紀さん。にじいろCAP代表。
私が大学生の頃からのお知合いです。当時,CAPをはじめられた重永さんは今ではCAPだけではなく,予防教育を広く実践されています。
市民の視点から,子どもたちの視点から子どもの虐待について考える視点を提供してくださいました。「私たちは間(はざま)を埋める活動をしている」とおっしゃっていたのが印象に残りました。

4人目は大迫秀樹先生。九州女子大学の先生です。
大迫先生は乳児院と児童養護施設における子育ての連続性について研究をされていますので,その研究の成果についてご紹介いただきました。家庭支援専門相談員や里親支援専門相談員など“つなぎ”を専門とする人たちの活用,事前事後の慣らし保育など施設間連携による取り組み,心理職の活用などが子育ての連続性を担保するために有効な手立てとなりえるというお話をしていただきました。

それぞれの実践に基づいたお話はインパクトがあり,もっと長い時間,お話を聞きたかったと思いました。



2日目にはポスター発表も行いました。
今回は,「乳児院の養育単位小規模化による業務内容と業務負担の変化」というテーマでした。


次回の福祉心理学会第16回大会は静岡大学で主催する予定です。



ide LAB.

北海道大学大学院 教育学研究院 臨床心理学講座 福祉臨床心理学研究室