高校中退についての授業

今日は,静岡県立大学の学校カウンセリング(教育相談)の授業で,高校中退について考えました。
静岡県立大学では,国際関係学部や経営情報学部の一部の学生が中高の教員免許を取得するため,非常勤で学校カウンセリングの授業をしています。普段,静岡大学では義務教育課程の教員になる学生がほとんどなので「中退」について扱うことはほとんどありません。

今年度は,静岡大学の大学院の授業(臨床心理学特論)の一環として中退について扱う授業を開発しようということに取り組み,その授業を静岡県立大学で実践したというわけです。



大学院の授業では,高校中退の現状についての統計データを始めとする様々な研究をレビューし,高校中退の背景にある問題を整理しました。その内容をもとにして,5つの事例を作成し,受講する学生はグループごとに1つの事例についてディスカッションをするというワークを行いました。

5つの事例はすべて担任しているクラスの高校生から「学校をやめたい」という相談を受けるという形式をとっており,次のようなテーマを含んでいます。
①生活の困窮
②非現実的(だと思われるよう)な夢
③対人関係
④非行傾向
⑤無気力

興味深かったのは受講生の中から④の事例について,「最近はいないよね」という声が聞こえてきたことでした。
確かに,少なくなっていると思いますが,いないわけではありません。おそらく,彼らが通っていた高校ではそういう生徒に触れる機会がなかったということなのかなと思います。教師を目指す学生たちがしてきた経験が,偏ったものであることを感じさせる言葉でもありました。

それぞれのグループでのディスカッションはとても興味深いもので,事例を通して,いろいろな可能性について考え,公立私立よる違いや学力による校風の違い,過疎地域ならではの問題など,様々なことについて話し合ってくれていました。
感想は次週提出するという宿題にしたので,またそれを読ませてもらうのを楽しみにしています。

ide LAB.

北海道大学大学院 教育学研究院 臨床心理学講座 福祉臨床心理学研究室