【調査】貧困や社会階層,社会経済的地位に起因する問題を抱えるクライエントに対する心理支援について

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アメリカ心理学会(APA:American Psychological Association)では「低所得と経済的疎外(low-income and economic marginalization:LIEM)」という表現を用い,貧困や社会階層,社会経済的地位に起因する問題を抱えるクライエントに対する心理支援のあり方が議論され,ガイドラインが策定されています。

A Closer Look at the APA Guidelines for Psychological Practice for People with Low-Income and Economic Marginalization

(日本心理学会のウェブサイトでも紹介されています)


しかし,日本ではそうしたガイドラインの策定はおろか,LIEMを背景に持つクライエントへの心理支援の現状も明らかになっていなければ,どのような支援が必要なのか,支援者にはどのような取り組みが求められるのかという議論もほとんど行われていません。


本研究室(北海道大学大学院/教育学研究院/福祉臨床心理学研究室)では,科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A)『貧困学の確立:分断を超えて』(研究代表者:阿部彩(東京都立大学))の研究課題(公募研究)のひとつとして実施される「貧困下にある子どもに有効な支援を提供する心理支援者育成プログラムの開発」(研究代表者:井出智博(北海道大学))という研究プロジェクトに取り組んでおり,現在,このプロジェクトの一部として,公認心理師や臨床心理士として心理支援,心理臨床に従事されている専門職の皆さまを対象にした質問紙調査(@web)を実施しています。


この調査では心理支援・心理臨床に従事されている皆様に貧困や社会経済的地位などに起因する問題を背景に持つ支援対象者・クライエントへの支援の実際や,支援に対する考え方などをお伺いし,その知見を基にして心理臨床家・心理支援者の養成に必要な内容を検討し,貧困や社会経済的地位などに起因する問題を背景に持つ支援対象者・クライエントへの支援に焦点化した心理臨床家・心理支援者へのトレーニングを開発,提供を目指します。

こちらのURL(https://questant.jp/q/01USK6Z3)からウェブアンケートフォームにアクセスしていただくことができます。回答にかかる時間はおおむね20分程度です。アンケートフォームの冒頭にもお示ししておりますが,この調査は,調査にかかるすべての手続きについて,北海道大学大学院教育学研究院の研究倫理審査を受審し,承認を得たうえで実施されています。

なお,この調査の後,インタビュー調査,および貧困や社会経済的地位などに起因する問題を背景に持つ支援対象者・クライエントへの支援に焦点を当てた心理臨床家・心理支援者の皆様に向けた研修会を開催する予定です。アンケートフォームの中でご連絡先をお書きくださった方にはこのトレーニングに関する情報を優先的に提供させていただきます。


ぜひ関係者の皆さまには調査へのご協力をお願いいたします。

また,身近に心理支援,心理臨床に従事されている方がいらっしゃればこの調査についてご紹介ください。

ご理解,ご協力のほど,よろしくお願いいたします。


ide LAB.

北海道大学大学院 教育学研究院 臨床心理学講座 福祉臨床心理学研究室