『性の多様性と学校教育』研修会を終えて




12月20日(日),静岡大学道徳教育研究会の活動として,「性の多様性と学校教育」というテーマで研修会を開きました。

講師として沖縄大学の吉川麻衣子先生に来ていただき,沖縄大学で行われた当事者の学生さんたちと一緒に作った授業のお話などをしていただきました。
学生さんにも登壇していただき,授業で当事者として自分を語ることや,学校生活を振り返って学校教育に何を求めるのかというようなことをお話してもらいました。
静大からも性の多様性を教える授業づくりに取り組んだ学生さんたちに授業の様子を報告してもらいました。

沖縄大学からの話題提供では「当事者だからできること」という視点,静大からの話題提供では「当事者でなくてもできること」という視点から話題を提供してもらったという感じです。それぞれに学生のパワーと感じ面白い発表でした。

吉川先生からは大学で当事者の学生と一緒に学びあう枠組みやそうした学生の声を大学づくりにどのように反映するのかということについてのお話も伺いました。
静大のように規模の大きなところではなかなか難しい取り組みだなぁとも感じましたが,多様な性の在り方だけではなく,学生のための大学づくり(ひいては,児童生徒のための学校づくり)という視点を持つことの大切さと,学生と一緒に学校を作っていくことの面白さを教わったような気がしました。

高校生から,学校の先生,大学でこのテーマで実践研究をされている先生,当事者の方など,いろいろな立場の方に参加していただきました。
LGBTという言葉がありますが,LGBTの方たちが「当事者」で,そうでない人たちは「非当事者」という考え方ではなく,性のあり様は本当に多様で,それぞれはその多様さのどこかに位置するものであって,「当事者」と「非当事者」の間に境界線はないのだなぁということ。また,授業づくりや学校づくりというのはそういった視点から進めていく必要があるのだなぁと思いました。

何よりもこれまで臨床心理学の視点から,「こころの問題」としてとらえたり,生徒指導・教育相談上の問題としてとらえる傾向にありましたが,授業づくりのような形で,「学ぶこと」も大切なんだなぁという体験ができたことは自分にとっての大きな学びでした。


これから少しずつこのテーマについての,小中学校等での研修の機会も増えてきそうです。

ide LAB.

北海道大学大学院 教育学研究院 臨床心理学講座 福祉臨床心理学研究室