学校臨床における性の多様性シンポジウム

日曜日、今年度の静岡県臨床心理士会の総会・大会の企画の1つとして『学校臨床における性の多様性』と題した市民公開シンポジウムを開催しました。



会員、一般の方あわせて120名ほどに参加して頂きました。一般向けの広報はほとんどしなかったにも関わらず多くの方に来ていただき、このテーマへの関心の高さが伺えました。

話題提供者には4人の方をお迎えしました。
トップバッターはLGBTしずおか研究会の細川さんでした。聞く人がステレオタイプで性の多様性を捉えないように、専門的な言葉、ラベリングをするような言葉を使わないように気を付けながら性の多様さをお話ししていただきました。

2人目は静岡大学教職センターの松尾先生。学習指導要領の中で性がどう示されているのかということをご紹介いただきました。つまり、学校で性がどう教えられているか、ということですね。これは臨床心理士にとってとても目から鱗なお話だったと思います。どうしても多様な性を生徒指導、教育相談のテーマとして捉えがちな私たちにとって学習指導要領を頭に入れた支援をするというのは大切なことです。

3人目は定時制高校の先生である前田先生。私が性の多様性に取り組むきっかけをくださったお一人でもあります。性だけではなく、多様な生徒さんが通う定時制高校での実践に基づいて教師から見た性の多様さをお話ししていただきました。

そして4人目は当事者の学生さん。人前で話してくれるのは初めてだったにも関わらず、素晴らしい話と話す態度。ゆったりと、そしてしっかりと一言一言、自分のことを話してくれました。かっこよかった。

最後は指定頭論者の柘植道子先生。この企画を考えたときに、まずこの方に来ていただけなければ成り立たないと考えた方です。快く引き受けていただき本当にありがたかったです。お話しいただく時間が足りず、もっと聞きたかったという感想をかたくさん頂きました。柘植先生、参加者の皆さま、すみませんでした。
また今度は柘植先生のお話をしっかりゆっくり伺う機会を作れればと思います。“臨床 “という視点からの多様な性についてのお話はさすが柘植先生です。迫力があります。

そしてたくさんお誉めの言葉を頂きました。私の企画力(笑)
確かにこのテーマを考えたときにすっと会の流れと呼ぶ人が頭に浮かびました。うまくいかないイメージは湧きませんでした。臨床心理士向けの研修内容としてはバランスのとれた企画だったとも思います。
が、これは私の企画力によるものではありません。やっぱり、お話頂いた方のお力によるものです。
もし私に力があるとすれば、それはこうした素敵な方たちと出会い、こうしてお願いすると快く引き受けていただき頂けるという力だと思います。

シンポジウムを終えて舞台の上でみんなで撮った写真が素晴らしい。ここでお見せできないのが残念ですが、まるで家族のような写真でした。それぞれ緊張しながらお話しされたということもあったと思いますが、ほっと息が抜けて清々しい表情でした。

柘植先生がシンポジウムのなかで繰り返しおっしゃっていた「当事者」の語りの力は本当に凄かった。私たち臨床家は性の多様性に限らず、いろんな“当事者“の声に触れる必要があることを再認識しました。そして自分の中にあるホモフォビア(多様な性への恐れ)。このテーマで活躍してる人の中にもあるし、“当事者“の中にもあるんだということを知りました。

シンポジウムの後半、ラウンドテーブルに移ったときには私自身の脳みそが停止ししかけていて聞こうと思っていたことが頭から飛んでしまったことが残念でした。

最後に改めて話題提供者の皆さま、指定討論者の柘植先生、会場で運営をサポートしてくれた皆さま、参加者の皆さま、ありがとうございました。

ide LAB.

北海道大学大学院 教育学研究院 臨床心理学講座 福祉臨床心理学研究室