授業の一環としてのケース会議への参加

大学で『心理検査・測定法』という講義を担当しています。
知能検査を始め,子どもや家族を対象にした心理検査,アセスメントツールの使い方を学び,対象を見立てる知識と技術を身に付けましょう,という授業です。

心理職ではなく,教員を目指す学生が受講対象なので,がっつり心理検査を学ぶというよりも,いろいろな心理検査を学んでもらって,実際にその検査を取らなくても,その検査という物差しをその対象にあててみたときに,どのような特徴を持った対象なのかということが何となくつかめるようになるということをめあてに授業を位置付けています。

数年間,検査の使い方や結果の見方などを講義してきたのですが,どうもしっくりこない感じがありました。
検査の使い方や読み方は理解できても,実際に臨床現場でどう使われるのか,どう生かされるのかということが伝えにくいというか,イメージしてもらいにくい。

ゼミの卒業生で児童家庭支援センターに就職をした人がいて,ちょうどそんなことを考えている時に,センターでケースカンファレンスをしたいという話になりました。そこで,ケースカンファレンスをする代わりに学生をオブザーバーとして参加させてほしい,ということを挺身しました。昨年度1回目を開き,今回は2回目。授業の一環で,という位置づけもはっきりしてきたので,大学からバスも出してもらい,半分遠足のような気分でお出かけをしてきました。



ケースカンファレンスを見てもらったことで実際にアセスメントがどのように行われ,どのように生かされているのかということをイメージしてもらえたかなと思います。また,卒業生が心理職として働いている姿を見て,自分たちの将来像を描いてみるきっかけにもなったかもしれません。

公認心理師ができて,国家資格化されることには基本的に賛成なのですが,こうして大学に入ってからいろいろと考え,「やっぱり心理でご飯を食べていこう」という選択ができなくなっていくことには残念な感じがしています。一緒に仕事してきた人たちの中にも,学部は物理だったけど… とか,一度卒業して看護師として働いてたけど… という人もいて,とても素敵な臨床心理士になっているなぁと思うと,教員養成課程の彼らにももっといろいろな選択ができる余地が残っているといいなぁと思ったりもします。

ide LAB.

北海道大学大学院 教育学研究院 臨床心理学講座 福祉臨床心理学研究室