【研修会】移住定住セミナー『北海道の特性に対応した移住・定住の道筋を探る』

2023.3.2に北海道開発協会が主催する移住定住セミナー『北海道の特性に対応した移住・定住の道筋を探る』が開催されました。この一年,北海道開発協会からの研究助成を受けていた関係で,パネリストのひとりとして登壇させていただきました。


移住・定住セミナーということで,人口減少,特に若者の人口流出が続いている北海道の地方における移住・定住をどのように推進するかというテーマのシンポジウムです。

そんな中「地方の里親家庭や児童養護施設で育った若者の定着条件」というテーマでお話をさせてもらったのですが,他の登壇者の方のテーマは「若者のワークライフバランス」「関係人口創出と移住定住」「農村への移住定住に果たす仲介者・支援団体の役割」など,テーマだけをみると私のテーマはかなり場違いな感じがします。

話題提供させてもらったは道内の地方にある施設や里親家庭で暮らした子ども・若者がケアを離れ,就労,就学する時に慣れ親しんだ関係や環境を離れて札幌を中心とした都市部に移住する実態を踏まえて北海道でのパーマネンシー保障をどう考えるかという内容でした。

例えば移住定住の促進を考える時「関係人口」をどう創出するかという文脈から考える考え方がありますが,それは外の人を関係人口として取り込んでいくという議論であって,地域の中で排除されてきた子どもや若者はその「関係」の中には含まれていません。外からの移住定住を促進する前に,地域の中で排除されている子ども,若者をちゃんと「関係」の中に入れることが必要なのではないですか?という提案をしました。


セミナーの前はディスカッションがかみ合わないだろうな…と思っていましたが,登壇者の皆さんの話を聞いているとそんなことはなく,たくさんのつながりがあることに気づかされました。

例えば,移住定住を促進する時,その地域に合わせて移住者の暮らしを変えてもらうのではなく,移住してくる人のニーズを基に新しい地域づくりをしていく。そしてそのプロセスに寄り添う伴走者としての仲介者の役割が重要だ,という話がありましたが,それはそのまま社会的養護を経験した若者や,その他の逆境を経験してきた若者が地域で自立していく時にもそのまま通用する支援だと思いました。

またある地方の移住定住促進のポスターでは「田舎暮らしをすると家族の距離が近くなる」という健全な家族至上主義をうたったような移住促進のメッセージが書かれていますが,そんなの時代遅れだし,もっと社会の価値観は多様化しているからそれでは移住促進にはつながらないんだという議論があったりしました。


普段かかわりのない,異分野の方たちと意見交換をするのはとても面白いという事を改めて感じる時間でした。