「学校でのLGBTへの新たなとりくみ?~文部科学省通達をうけて当事者と考える」に参加して

今日はNPO法人ぷれいす東京が主催する「学校でのLGBTへの新たなとりくみ?~文部科学省通達をうけて当事者と考える」という研修会に参加してきました。性的マイノリティに関心を持つきっかけを下さった高校の先生が教えてくださった埼玉大学の渡辺大輔先生が講師として来られるのと,「文部科学省通達をうけて当事者と考える」というテーマに惹かれました。

ここでいう“文部科学省通達”というのは今年の4月30日に文科省が全国の学校(小中高)に出した「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」という通知です。

LGBTを始め,性的マイノリティに関してはいろいろな調査が行われるようになってきました。
例えば,電通がLGBTを対象とした市場の大きさを知るために調査をしていたりしていますし,文科省も全国の小中学校に性的マイノリティの児童生徒がどれくらいいて,どのような配慮が必要かという事例を吸い上げるような調査をしています。
ある調査では何らかの性的マイノリティに該当する人は13人に1人くらいいるという結果も示されています。
渋谷区では同性婚が認められるようになりましたし,世の中の動きに合わせて,学校でも性的マイノリティの児童生徒への対応の必要性が高まってきているというわけです。

ところが,学校の先生たちの研修で「『性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について』という通達が出ましたけど,知ってますか?」と尋ねても,100人に5人も知っていると手をあげる人はいません。
通知は出ても,実際には学校現場には届いていないんだなぁということを実感しました。


今日の研修は,東京ドームの近くにある日本性教育協会という場所で行われました。そもそも,こういう場所があることを初めて知りました。
国立国会図書館にもないような性教育に関する書籍が資料としてたくさんあるそうです。



研修は渡辺さんから若者の性的マイノリティの現状についての報告があった後,当事者の子どもさんをもつ方からの子育てについてのお話がありました。
その後,参加者同士でどんなことが問題で,どんな改善策があるのかについて話し合いました。
何より面白かったのは参加されている方のバックグラウンドでした。
学生,教員,ジャーナリスト,性産業,当事者など。いろいろな視点から現状について,と改善案がいろいろと出てきました。

「解決策」は出てきませんが,少しでも良い状態になるためには,まずはいろいろな人がつながることなんだなと思いまいた。
国籍が違う人も,性別が違う人も,性的嗜好が違う人も,身近にいて友達や知り合いになれば,実はそんなに変な人ではないということがわかってきます。「子どもたちに」「学校で」と言う前に,「大人が」「教師が」「社会が」オープンになっていけばいいなと思いました。

ide LAB.

北海道大学大学院 教育学研究院 臨床心理学講座 福祉臨床心理学研究室