被災後の心理的ケアについて(『支援者のための災害後のこころのケアハンドブック』)

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熊本県で震度7の地震が起きました。
生まれ育った土地ですし,家族も友達もたくさん暮らしています。

特に被害が大きく,報道されている益城町惣領,馬水といった地域は大学院を修了した後,熊本で働いていた時に住んでいた場所だったり,今は亡き祖父母が住んでいた家があった場所でもあります。勤めていた情短施設も益城町にあります。
まさか自分が暮らしていたところでこんな災害が起きるとは思っていなかったし,自分が通った学校が避難所になるなんて思ってもいませんでした。
災害というのはこういう形で不意にやってくるんだなということを思い知らされる出来事です。

亡くなられた方,負傷された方,不安な時間を過ごしておられる方にはお見舞いを申し上げます。


昨夜,テレビで緊急地震速報の音が流れたとき,まず頭の中によぎったのは「いよいよ来たか」ということでした。東南海大地震が来たと思ったのです。ところがテレビを見ると「静岡」ではなく,「熊本」と出ているのを見て驚きました。すぐに実家の両親に電話し,無事を確認しました(地震直後は電話がつながるのですね。その後,つながらなくなりました)。母親は,不安な声で「逆になったね」と言っていました。

ご存知のように静岡は東南海地震が来る,と言われ続けている場所です。静岡大学に赴任した際,何もない部屋に防災ヘルメットがポツンと置いてあるのを見て,大変なところに来たなぁと思いました。
そういう土地柄,静岡大学でも,静岡県の臨床心理士会でも地震防災,被災時の対応についてはいろいろな取り組みが行われています。防災の情報はいずれ報告するとして,今,必要なのは被災後のことだと思うので,紹介をしておきたいと思います。

静岡大学防災総合センターは静岡県臨床心理士会と協働で『支援者のための災害後のこころのケアハンドブック』を作成しています(同僚である教育学部・防災総合センターの小林朋子先生が監修されています)。被災した後,子どもたちにどのような心理的な反応が見られるのか,それに対してどのように関わればよいのかということについて,簡潔に,絵を交えて説明してあります。臨床心理士や学校の先生,保育園の先生,保護者の方など,学校や家庭で子どもたちに関わる機会がある方はぜひ,ご一読ください。読んでいただくことは,子どものためだけではなく,ご自身の不安を軽減したり,自分に起きていることを理解することにも役に立ちます。また,身近な方にもぜひ,ご紹介ください。

PDF版が静岡大学防災総合センターのホームページからダウンロードできます。
ダウンロードはこちら



静岡大学教育学部
准教授 井出智博(臨床心理学)
http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~etide/

ide LAB.

北海道大学大学院 教育学研究院 臨床心理学講座 福祉臨床心理学研究室