2019お仕事フェスタの様子1


今年度も児童養護施設や里親家庭で暮らす子どもの自立支援,就労支援の取り組みであるお仕事フェスタを開催しました。
毎回,冬に開催してきましたが,今年度はお仕事フェスタを終えた後でいろんなお仕事の体験に出かけることを考えて,夏休みの前半(8月2日)に開催することになりました。

今回もいろんなお仕事の方たちにご協力いただきました。
子どもたちも40人ほど参加してくれました。
ありがとうございました。
当日の様子は少しずつここで紹介していこうと思います。



お仕事フェスタにはいろんなねらいがあります。

1.多機関が連携して開くこと(施設+里親+支援機関)
お仕事フェスタは児童家庭支援センターはるかぜが主催しています。しかし,実行委員会は里親会や児童養護施設,里親支援機関(静岡市里親家庭支援センター)から構成されていて,それぞれが関わっている子どもたちに必要なことをみんなで作っていこうという考えを大事にして作ってきました。
施設vs里親という構図が生まれやすい中で,それぞれが持っている力や特徴を合わせて,地域の社会的養護に対する理解を高めていこうという多機関連携を構築していくことは大きなねらいであり,成果でもあります。

2.社会的養護の子どもが安心して参加できる
お仕事フェスタのような取り組みは社会的養護を要する子どもに限らず,広く,子どもたちにとって有意義な機会だと思います。しかし,社会的養護に対する理解が不十分なまま,「一般的」なことを基準にした自立支援をすると,そうでない子どもたちはいろいろな難しさを経験することになってしまいます。
そこで,お仕事フェスタ実行委員会では,事前に参加してくださるお仕事のお話をしてくださる方たち(ライフワーカー)に説明会を開催し,社会的養護のことを理解して頂くようにしています。本当は社会的養護の子どもだから...と分けずにこうした取り組みができるようになればいいのだと思いますが,現状では彼らが安心して参加できる枠組みを作ることも必要だと考えています。

3.サービスラーニングへ
お仕事フェスタはライフワーカーさんからお話を聞かせてもらう機会です。お仕事フェスタの時に子どもたちがいろんなことに興味を持ってくれたら,実際にそのお仕事をしているところに職業体験に出かけます。ライフワーカーさんには単に体験するだけではなく,その体験を通して,子どもたちが誰かの役に立っていることを実感できるようにしてほしいということもお願いしています。
先日,お仕事フェスタを受けて,ライフワーカーとして参加してくださった塗装職人さんのところに子どもたちと一緒にお仕事体験に出かけました。職人さんたちがボランティアでやっている地域の公園のトイレの塗装を子どもたちにも手伝わせて頂きました。
「このみんなが塗ったトイレ,地域の人が『きれいになったなぁ』って思いながら使ってくれるんだよね」というと,なんとも照れたような嬉しそうな顔をしていた子どもの表情が印象的でした。

今後の課題はこうした一連の流れが,就労支援につながっていくということです。
子どもたちが働くことに興味を持ってくれて,ライフワーカーさんたちが子どもたちを雇い入れる気持ちになってくれて...
そうして就職していった子どもたちがライフワーカーとして,いつかお仕事フェスタに帰ってきてくれるようになったら嬉しいなぁ。

で,今年度はこうした取り組みをNHKが取材してくれました。




今年の夏はお仕事フェスタのあと,子どもたちといろんなお仕事の現場を訪ねさせて頂いて,個人的にもいろんなお仕事を勉強させてもらっています。役得です。

ide LAB.

北海道大学大学院 教育学研究院 臨床心理学講座 福祉臨床心理学研究室