日本カウンセリング学会@北海学園大学

日本カウンセリング学会第52回大会@北海学園大学で研究報告をしました。



今回の発表のテーマは『児童養護施設で暮らす子どもの共感性が問題行動に及ぼす影響について』でした。

共感性の高さが攻撃的な問題行動を抑制すると言われてきましたが,果たして施設の子どもたちにもそういったことが言えるのか。また,そうであればどのような支援ができそうなのかを検討することが今回のテーマでした。

結論を要約すると…
・施設児童においても攻撃的な問題行動と共感性には関連がある。
・ただし,従来,向社会的行動(人のために行動したり,援助したりする行動)と敏感性には正の相関があると言われてきたが,施設児童では敏感性が高くなると攻撃的な問題行動が増加する可能性がある。敏感であることと,過敏であることは違うということなのかもしれない。敏感さを質的な側面から検討する必要がありそう。
・肯定的な感情を持つ他の子に対して好感をもつ傾向が強いと攻撃的な問題行動が抑制される可能性がある。嬉しかったり,楽しかったりしている子どもに対して「いいね~」と一緒になって嬉しくなったり楽しくなったりすることができるようになることが問題行動を生じにくくさせるのかも。どうやったらそれができるかは考えなければならないけれど,施設職員は問題行動が起きると子どもに関わる(介入する)けれど,嬉しかったり,楽しかったり,肯定的な感情を持っている時にももっと関わって,その感情を他の子どもにも伝えるような媒介者の役割を果たしたらいいんじゃないか?と思う。要は,職員はもっと子どもと楽しんで遊ぼう!ということなのかな…?

発表を見に来てくれた方たちとお話をしていたら,こんなことを考えました。
今回は(北海道だからだから張り切って)ちょっとふわっとした発表だったけれど,やっぱり発表を通して,自分で言葉にしたり,人から尋ねられて考えたり,新しい視点を頂いたりすると研究が深まるような感覚がありました。

やってみるもんだな。

ディスカッションしてくださった皆様,ありがとうございました。

ide LAB.

北海道大学大学院 教育学研究院 臨床心理学講座 福祉臨床心理学研究室