ヨシタケシンスケさんの絵本がいい。

今月の『MOE』(9月号)はヨシタケシンスケさんの特集。


ヨシタケさんの本がいろいろと紹介されていて楽しいけれど,一番良かったのは別冊ふろく『STAY HOME 心の中でできること』。

・感染拡大によって行動範囲が狭くなり,同じように心の行動範囲(不安に占領されて)も狭くなった。

・その不安をどうにかしようと試行錯誤しているけれど,無理やり不安を小さくしようとすると不安のかわりににくしみやイラだちが増えてしまう。

・不安を無理して小さくしようとするのではなくて,わからないことはわからないまま,「この先,どうなるかしらねぇ」という気持ちのままで心においておくという覚悟が必要なんじゃないだろうか。

・こんな時だからこそ,「あなた自身の専門家」として,あなた自身にとって何が不安を増大させてしまうのか,何が希望につながるのか」を日々研究してもらいたい。

っていうような内容。



focusingだなぁ。

不安と戦おうとか,不安をやっつけようとか,乗り越えようとするのではなく,まずはしっかりと感じ,対話すること。

いろんな心理の専門家が感染拡大への対処を示しているけれど,私はこのやり方が一番しっくりくるなぁと思います。

ちなみに,専門的なお話としては, Pat Omidianさんが「恐怖のフェルトセンスと共に」というフォーカシングを提案してくださってますが,ヨシタケさんの本の内容はこの提案の内容ととっても近いと思います。個人的には,ヨシタケさんの絵の中で不安にコーヒーカップを差し出しているシーンがあるのですが,ここがfocusingでfelt senseに挨拶するっていうところにつながっていると感じで,好きです。

Coronavirus: Being with your Felt Sense of Fear



このヨシタケさんの絵本は「情熱大陸」で作られたものらしく,YouTubeでも見られます。

ide LAB.

北海道大学大学院 教育学研究院 臨床心理学講座 福祉臨床心理学研究室